特色と基本方針
診療の基本方針としては手術後数年の近い将来のみならず「生涯にわたる患児の明るい未来と自立」を目標に手術成績のみにとらわれない、高い生活の質の向上に寄与するような手術治療を心がけています。このため当科では、
可及的早期に根治手術を達成し生理的循環への早期順応を図ります。
自己組織を有効に使用しできるだけ人工物を用いない再建術式を優先します。


重症複雑心疾患例において新生児期からの適切な段階的手術を時期を逸せず行います。
循環期小児科と密接に連携をとり三次元CTなどのよる詳細な術前形態診断、カテーテル治療と手術を組み合わせたハイブリッド治療を推進しています。


小切開手術を積極的に行う方針です。


術中の補助装置の改良・優れた心肺保護法の開発と臨床応用を推進しています。
多くの先天性心疾患の手術では、人工心肺(手術中肺と心臓の働きを代替する装置。心臓に出入りする大きな血管や心房にカニューレという管を挿入し、体と人工心肺を接続します) と、心停止 (大動脈をクランプして、心臓に心筋保護液を注入して心臓の活動を停止させます)という手段が必要になります。
人工心肺を使用すると、心臓と異なり平坦な低い血圧で全身を血液が循環する、血液が回路などの異物内を通過するなど、非生理的な状態によって全身に強い炎症反応が起こります。また,心停止の後、心臓に再び血液が流れることで、虚血再灌流障害という心臓の血管や心筋細胞の障害が生じます。これらは術後の心不全、肺高血圧、肺機能障害、をはじめとする多くの合併症の素因となることが知られています。
手術中、手術後にいかにこれらの反応を軽減できるかが、可能な限り合併症を少なく、早く元気になっていただくために大切です。心停止や人工心肺の時間を短くすることが基本的な対策ですが、ほかにもこれらの反応を低く抑える手段を積極的に取り入れて、合併症予防に取り組んでいます。
手術方針の概要
未熟児心臓手術
未熟児動脈管では内科的治療2〜3クールにて開存を認める例では、体重によらず動脈管結紮術を施行しています(最低体重390g)。
新生児期〜乳児期早期姑息的手術
随時緊急対応をとります。
- 大動脈縮窄症、大動脈弓離断症に対する緊急大動脈弓再建手術
- 重症先天性大動脈弁狭窄に対する心臓カテーテル的治療と外科的大動脈弁切開
- 複雑先天性心疾患における体肺動脈短絡術(シャント手術)、肺動脈絞扼術
新生児期一期的心内修復術
- 総肺静脈還流異常症修復術および完全大血管転位症に対する大血管スイッチ手術
- 総動脈幹遺残症根治手術
- 大動脈縮窄症、大動脈弓離断合併する複雑心疾患における一期的心内修復術の施行
非チアノーゼ性心疾患修復術
心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、心内膜床欠損症(房室中隔欠損症)、動脈管開存症など。肺高血圧症合併例では体重によらず生後3〜5ヶ月以内の乳児期早期の根治手術を原則としています。
チアノーゼ性心疾患心内修復術
ファロー四徴症修復術、完全大血管転位症III型(ラステリー手術)、両大血管右室起始症心内修復術などでは可及的に乳児期後期(1歳未満)での根治手術を目指しています。
単心室症に対するフォンタン手術
新生児乳児期の段階的姑息術に続いて生後5〜10ヶ月を目安にグレン手術、さらに1〜2歳で最終フォンタン手術を施行する方針です。
先天性弁膜症に対する自己弁温存手術
人工弁置換術を可及的に回避する方針で自己弁温存手術を第一選択として僧帽弁に対しては弁形成術、また先天性大動脈弁疾患についてはロス手術すなわち自己肺動脈弁(オートグラフト)による大動脈弁置換術を積極的に施行しております。
